挽(ひき)曲り
製材とは建材の柱や板を同じ幅にて真っ直ぐに切り出す作業です。
なので、原木自体が曲がっていないものを選ぶ目利きはもちろん、
製材でも曲がりを修正する技術が必要です。
丸太から帯鋸で製材する際必ず曲ります。
長いものほど曲りはでます。
今回は、挽(ひき)曲りについてご紹介いたします。
はじめに、原木を製材機に乗せます。
この時点では、真っ直ぐです。
帯鋸で丸太の一面を製材します。
製材機の動きは直線ですが、丸太をカットした辺部と芯部は反発し合うように曲ります。
今回は、回し挽をしますので次の面をカットします。
この面でも辺部と芯部が反発するように曲ります。
柱のカタチになりましたが、挽曲りがあります。
直線にするために修正挽をします。
4面を修正挽をして正方形で真っ直ぐな柱にします。
製材の挽曲りは、木の質ではなく応力が解放されるために起きる現象です。
丸太の外から薄く挽いていくと曲りは軽微ですが、厚く深く帯鋸を入れると大きく曲がります。
30年以上前、桧柱は未乾燥で流通していました。
修正挽した柱には、「8面スリ」とか「修正挽」と表示してありました。
乾燥材が主流の現在は、挽曲りのまま人工乾燥してから修正挽する場合もあります。
製材とは材としての木の命を適材適所に生かす仕事だと思っています。
丸太を挽く際には、曲がりや節の具合をよく見極めて、
どのように挽けば材として強く、美しく仕上がるのかを考えます。
私たちの製材した木が、様々に形を変えて
みなさまの暮らしに寄り添い生かされていくことを願っています。